フィルムカメラ

フィルムカメラについては最盛期をとうに過ぎていることから、当時のカメラを検討するときには勢いだけでなく慎重さも大切だ。フィルムの値段が高騰している今、よほど強靭な意思を持っているか潤沢な資金がある人以外はデジタル主体とならざるを得ないが、やはり選択肢の一つとしてフィルム機を手放せないのが人情だろう。完全機械式のカメラであればあまり心配する必要はない。問題なのは基盤の故障の可能性のあるカメラで、発売からモノによっては20年が経過しているわけで、いつ壊れるか分からないものに10万や20万を気軽に出せるかと言われるとイマイチ自信がない人が多いだろうと思う。

なぜフィルム機を今使うのか、という質問には人の数だけ答えがある。写真をデータでなくモノとして持ちたい人、アナログの操作感に魅せられた人、フィルムの色味から逃れられない人。僕はフィルムの色味が好きなのと、一枚ごとへの思い入れが強くなるのでフィルム機を使っている。色味が好きだとは言え、デジタル機でフィルムシミュレーションを行うのは何か違う気がして、デジタル機はあくまでもニュートラルな写真、ただの記録として撮っている。例えば特別なイヴェントだったり、日常だけどここぞという瞬間が訪れたときには、ちょっと重いけどフィルム機を持ち出して、光の具合や構図を考えてシャッターを切る。36枚撮り終えるまでの時間は短くて一日、長ければ一年くらい。すぐ現像しても新鮮な感動があるし、撮ったことも忘れていたような昔の写真が現像されて返ってきたときの感動もいいもんだ。今は小さなRF式カメラを探していて、そう遠くないうちに買うことになる。IIIfかCLか、どちらかを選ぶと思う。

今人気のContax t2についても少し考えた。リペアしてくれる会社がまだあること、とにかく写りがいいAF式カメラだということ、二つとも僕にとっては大切なことだった。ただ値段が高いのと、いつフィルムの供給が途絶えるか予想できない状態なのが心配で未だに手を出せていない。ボーナスが満額支払われた人で、フィルムに興味のある人はぜひ手に取って欲しい。間違いなく泥沼にハマるので。