そしてみんな結婚した

予備校の談話室で勉強せずにアニメの話ばかりしていた連中がいる。そんな彼らと予備校を卒業してから10年以上経つのに、未だに池袋で集まって飲んだりしている。彼らはちゃんとしたオタクなのに次から次へと結婚し、やがて30歳になるまでにほぼ全員が結婚してしまった。世にも奇妙な物語である。

時が経つのは本当に早い。ついに先日のオンライン飲みでは彼らの子供が出演し場を沸かせた。アニマスゼノグラシアではない)で誰が好きか延々と語り合った男達が、変な匂いのするあの地下のゲーマーズに通った男達が、今では子供に飯を与えており、ちゃんと父親をやっていて感動した。ちなみに僕は千早が好きでした。

概ね彼らは優秀な経歴を持っている。そしてちゃんと金を稼いでいる。社会不適合者ばかりの集団なのに自分の稼いだ金で飯を食い家に住み(家を買った奴も)、家族を養っている。不思議でならない。彼らと顔を会わせる度に思うが、皆が自立して金を稼げていることに驚きを隠せない。僕を受けれいてくれる会社含め、世界は案外懐が深い。

独身寮時代の同期は半分が会社を辞めた。都内の大学を出た同期は一旦東京の会社へ勤めたものの、妻の実家である姫路へ引っ越し兵庫県内で新しい仕事を始めた。もうひとり、博多でまるまると太った同期も結局大阪市内で働いている。関西に縁を持った人間は、第二の故郷として関西へ取り込まれるのかもしれない。関西はいい。特に大阪と京都は実に良い。京都で仕事を見つけたら、僕は国際会館近くに家を買うつもりだ。

同期はいつまでも同期であり会社を離れても同期である。一年目か二年目の夏、Airbnbを使って烏丸御池近くの古民家を貸し切って日本酒&スマブラ大会を開催したのが懐かしい。今でも定期的に連絡を取り合い、高田馬場で飲んだり、大阪駅前ビルで飲んだりしている。そんな彼らも半数以上が結婚し、中には三つ子が生まれた家もある。それぞれがそれぞれの人生を生きている。

30歳、それは学校を出てから7,8年が経ち、徐々に将来の像がおぼろげながら見えてくる歳だ。「まだやれる」と「この程度か」を毎日繰り返しながら、より良い人生を送れるよう我々は日々何かと戦っている。肩書、年収、家族、持ち家、人と比べるもんじゃないと分かっていながら比べてしまう。やはり人生は辛く厳しいが、たまに楽しいことがあるからいい。