寄席へ行き、それとは別に体重が減った話

【寄席へ行った】
路地を歩く自らの背中に汗が流れるのが分かるほどその日は暑かった。長い友人である彼と都内の喫茶店で合流し、寄席に関する詳細な解説を聞きながら会場へ向かった。寄席というものは落語や浪曲や講談といった演目以外にも、色物と呼ばれるマジックや漫才、切り絵などが程よくブレンドされている。実を言うと最近まで寄席というものは落語が全てだと思っていたし、そんなわけで講談と浪曲の区別もイマイチつかぬまま会場へ足を踏み入れることとなった。

我々の目的は神田伯山の講談を聞きに行くことだった。自身のイメージでは講談師は小机の前に座り、テンポよく小机を叩きながら話を進めていく。落語との違いは机の有無、その程度の知識でもってあの神田伯山に臨んだわけだ。

彼の講談には他の誰よりも聴衆を引き付ける力があった。我々は呼吸することを忘れ、ただただ彼の語り口に耳を傾けることしかできなかった。台詞を書き起こしてしまえば普通の文章なのだろうが、神田伯山という人物を媒介することで、これほどまでに鮮やかに物語が再構築されるとは……それほどまでに彼の講談は衝撃であった。その後、随分遅くまで彼に講談のあれこれについて質問を重ねた結果、なんとなく講談という伝統芸能の輪郭が掴めてきたように思う。できれば次回はある程度勉強した上で参戦したい。

【痩せる】
食生活を一切気にせずに好きなものを食べ、好きな時間に寝て起きてという生活を続けていたところ、腹の調子が悪く朝晩常にかったるい日々を送る羽目になった。これは自業自得以外の何物でもない。自分でも驚いたのだが、荒んだ食生活を続けると人はサラダを求めるようになるらしい。なので2日に1回くらい会社帰りにコンビニで300円くらいのサラダを買い、21時過ぎまでダラダラしてからテキトーにドレッシングを掛けて食べる日々。健康なのか不健康なのか分からない曖昧な日常が淡々と過ぎていく。

気づけば体重が60kgを割り、あれほど頑張って増やしていた体重が一瞬で元に戻った。自身にとっては56kgくらいが適正体重で、飯をたくさん食って体重を増やすことはそもそも身体に無理をさせていたのかもしれないが。もうそろそろ無理ができない年齢に突入するため、身体を労り、適度に刺激を入れて末永く使える身体を維持したい。