エヴァは世界を救う(救った)

シン・エヴァンゲリヲンを見返した。精神が健全だった頃より感じるものは多く、無事復職が決まったこのタイミングで見るべき映画だったと断言したい。自らの判断ミスによる他者への様々な被害や、様々な要因により自らが受けた傷は事実であるが故に決して否定せず、今現在五体満足で生きていることと、今ここに辿り着くまでの自らの意思決定を受容し、自分で自分を認めてやることで前に進むこと。今までの自分を許して、痛みを感じながらも前に進むことをシンジは教えてくれた。

随分前から自分にはどう足掻いても辿り着かない場所にいる人だったり、自分とは真逆の選択をして成功している人を見て、痛みを感じながらもその痛みをバネに踏ん張る生き方をしてきたように思う。ある程度まではそういった手法でなんとかなるんだけど、数ヶ月前にキャパオーバーして、しばらくお暇を頂戴することになったのは苦い経験だ。無茶苦茶にゲロ吐いたり一日中寝たきりになりかけたけど、なんとか今こうして復帰しかけている自分は褒めてやろうと思う。あとは復帰して自分のやりたいことのために頑張るだけだ。

話は脱線するが親と子という立場には自分は弱くて、というのも親戚との関係が必ずしも良好とは言えなかったことと、特に父方の親戚と顔を合わせる機会が非常に少なく、父方の祖母とは彼女の葬式で初めて顔を合わせた*1ほど疎遠だったことも一因だと思う*2。しかしここ数年は、盆と正月くらいは家に行ってやらんこともないと思う程度には関係は改善されつつある。両親としても僕としても、僅かながら良い方向へ進んでいると信じたい。碇シンジとゲンドウとの関係に既視感を覚えたとは言わないが、彼らの関係が改善され誤解が解けていくのを見るのは素直に嬉しかった*3

普通なら何も疑わずに信条に掲げられるような耳障りの良い言葉も、この歳になってようやく実感を伴った言葉として理解できるようになった。「格言」や「教訓」と呼ばれるものは多くの人の実体験によって紡ぎ出されたものなのだと知った。愚者は経験から学び〜という格言?が身に染みる。人にやさしく、ラブアンドピース。

エヴァから世界平和まで話は飛躍したが、失敗して凹んでも自分で自分を奮い立たせるしか現状打破の方法はなく、キッチリ落とし前をつけて進むしかないという物語の流れが自分にプラスに作用したのは幸いだった。言葉一つから多くを学ぶことは自分にはできなかったけれど、含蓄に富んだ作品に出会えたことで幾分か救われたように思う。立場が変わると受け取るメッセージは変わるし、だから何度でも好きな作品は見返すべきだ。このタイミングでエヴァを見返せて本当に良かった。

*1:顔を合わせたとは言わないのでは?

*2:幼稚園のころから祖父母が2人ずつ存在する人のことが信じられなかった。嘘だと思っていた。

*3:庵野秀明によってゲンドウの内面が描写されるとは思っていなかったため、劇場で衝撃を受けたのをよく覚えている