LUUPに乗ってみた

用事もないのにアキバに行って電気街のあたりを歩いていると、高架下にLUUPが2台停まっているのを発見した。あのヘルメット無しで乗れる、ドライバーからは非常に評判の悪い電動キックボードだ。興味がわいたので看板のバーコードを読み取ると、初回30分無料クーポンが貰えるとのこと。ちょうど入谷のあたりに行きたい店があったので、20分あれば着けるだろうと踏んで試してみることにした。

乗り出す前にアプリ上で12問のテストに全問合格する必要があるが、免許証とクレカの紐付け含めて10分程度で登録は完了。歩道は走れず、車道でも15km/hまで、ただし原動機付自転車でなく小型特殊自動車扱いのため、感覚的には歩道を走れない自転車といったところらしく、つまるところ自動車向けの一方通行道路は逆走可能らしい。普段原付に乗っている身として頭が痛くなるようなルールだが、LUUP社の法務部は相当頑張ったんだろう、まさか日本の公道上でこんな乗り物に乗れる日が来るとは。

秋葉原から入谷は大きな国道が走っていて、この道路の左端を走るのは非常に恐ろしかったため一本入った小さな道をゆっくり走ることにした。LUUPのような電動キックボードは小回りが効くし逆走もできるので、A点からB点までの単なる移動に使うよりも、ある一帯の街をゆっくりと散策するような目的の方が向いている気がした。

LUUPにはスマホを固定するスタンドが装着されており、ぼくは目的地までのナビとしてGoogle Mapを起動しながら走っていた。このスタンドはかなりしっかりと固定できるのでスマホの落下の心配は少なかったが、やはり周囲の人の目や本機の後ろからゆっくりと着いてくる車の存在が気になった。

人通りの少ない道端に停めて全体を見てみた。本機はタイヤが小さくちょっとした段差を乗り越えた衝撃がそのまま身体に伝わるが、決してバランスを崩す程ではないのは重心が低いからだろうか。トルクはなかなか強く、感覚としてはスーパーカブの2速といったところ。アクセルはハンドルでなくハンドルに付いているボタンで、こいつを右の親指で押し込むことで速度を調整できる。グイッと押し込んでも15km/h、思ったより速度は出ない*1。普段乗っている原付と異なり常に直立している必要があり、周囲を見回しながら走行を楽しむことができるのは結構いいもんだった。

難点としては(交通量の多い交差点における)右折時は一度降車して、横断歩道を手押しする必要がある点だろうか。そもそも交通量の多い少ないは個人の判断に任される時点でルールとして破綻してるだろ、と思わざるを得ない。短期間にルールが変更されたり、そもそも法制度が未整備であるが故に違反と判断されるリスクが高く、仮に違反と判断されなくとも自他へ危害を及ぼす可能性が原付等と比べて高いように感じた。

いずれにせよ無事に入谷でLUUPを返却し、目的の洋食店は予想以上に価格が高くて敷居を跨ぐことができず、仕方なく鶯谷まで歩いて蕎麦屋の暖簾をくぐり、そこから上野公園まで歩いたところ、東京藝大のアートマーケットがやっていたのでさんざん見まくって何も買わず、文化会館で配布していた手ぬぐいをいただき、疲れたので近くのカフェでこれを書いている。今日はいろいろと楽しかった。月に一回くらい好き放題歩く日が必要だと痛感した。人間には自由な時間が必要だ。

*1:あくまでも走行者の感覚で、歩行者から見たら速いのかもしれない