結婚式5

その日は起きて12,3分で慌てて家を出て、式場のある川越へと向かった。バス待ちの時間に、何もなかった川越駅西口に新たな商業施設が完成しているのに気づく。川越城址に建てられた学校まで通っていた当時は、まさかあの街がこれほどの観光客を呼び寄せるようになるとは想像できなかった。連続ドラマ小説「つばさ」の舞台は確か川越で、全く盛り上がらずに失笑していた気がするのだが、このところ川越を訪れる度に新たな飲食店が生えているのに驚きを隠せない。

友人の結婚式は川越市内のとある式場で行われた。遅刻ではないが遅刻ギリッギリの時間に到着すると、僕以外の出席者は皆揃っていたようで、飲み物を飲む暇もなく速やかに式場へ移動し挙式が始まった。新郎新婦ともに国立大の修士課程を修了し同じ職場で働いているようで、まあ例に違わず母校の連中は優秀だった。

披露宴では新郎新婦による演奏があり、同じクラシックという趣味を共有できる間柄はきっと幸せだろうと思ったし、学生時代のサークルの同期たちと幸せそうに写真を撮る彼を少しばかり羨ましくも感じた。披露宴ではビールやワインといったアルコール類が適切に提供されていて、久しぶりに、それこそ数年ぶりに人と酒を飲む楽しさに身を委ねた。何度行っても手放しにお祝いできる結婚式というイベントはいいもんだ。