冷凍ホッケ

冷凍ホッケが届いたのは一週間前のことだ。ホッケは北海道の洋上で(本人の意に反して)捕獲され、急速冷凍されたのちにはるばる埼玉の我が家へやってきたようだ。ホッケは冷凍庫でここ一週間近くかなりの存在感を放っていたが、ついに先日冷凍庫から冷蔵庫へその住処を移され、調理される日を待っていた。

時間が経ってもホッケは頑なに固くあり続け、かつどこまでも冷たかった。数日が経ち、ようやく半解凍状態になったホッケを袋から取り出し、苦労して半分に割ってから塩を振った。普段目にするホッケは開かれていて塩味が付いているが、このホッケは魚のかたちを保っていた。丸い状態のホッケを触ったのは初めてじゃなかろうか。

ホッケが入っていた袋には、開いてからハンガーに吊るして一晩干してくださいと書いていた。けれど外は雨が降っていて干せる状態じゃなかったし、ホッケならそのままでも美味しいでしょと判断して焼いて食べた。やっぱりホッケは干したほうが美味かった。水分が抜けて旨味が凝縮するんだろう。スーパーで見るホッケがだいたい干物なのには理由があったようだ。

それにしてもホッケは握りやすい形状をしている。凍らせれば固くて釘だって打てそうだ。丁度よいサイズ、丁度よい重さ。北海道に住むとしたら、軒先に紐を張ってそこにホッケを吊るしたい。風に揺れるホッケは風情のある景色だと思う。